2009年は僕にとって、非常に厳しい年でした。そのことは追々お話しすることとして、
2009年の6月28日と7月4日にライフタイムで演奏してくれたニッキ・パロットの率いるカルテットのことを思い出しながら、書いてみたいと思います。
世の中に、ダイアン・クラールやジャネット・サイデルのようにピアノを弾いて、唄う歌手はたくさんいますが、ベースを弾きながら歌う歌手は、しかも女性で、なかなかいません。それでいて音楽がすばらしい人は、空前絶後でしょう。彼女とは3月にニューヨークで会いましたが、そのときには今は亡き超有名ギタリストのレス・ポールのバンドでベースのみを弾いておりました。ですからニューヨークでもベースプレイヤーとして一流です。
彼女の歌は何もかもが自然にはじまり、気持ちいいなあと思っていると、もうエンディングです。すべてが自然で、「ジャズってこんなに簡単にできるのかな」と思ってしまいます。ベースの腕もニューヨークの同僚ミュージシャンから折り紙が付く素晴らしさです。
フォービートに移り変わるところの力強さと彼女の肩の筋肉たくましさ。(関係ないか?)でもとても美しい女性で、かわいい人です。性格も最高。ちょっと病気していたプロモーターにとても優しく接していました。
ジョンはいつもながらの、絶対に前へ出ない、レイドバックするピアノで、でもいつでも唄ってます。歌が絶え間なく、あふれ出てきます。やはりイタリア人の血なのでしょうか。彼のトリオの名前が「ロマンチックトリオ」なのが納得できます。
でも、彼と一緒にピアノをいじっていると、古くはファッツ・ウォーラーからチック・コリアまで、ありとあらゆるピアニストのスタイルを真似できます。そして、彼に言わせると「すべての歌手は顧客」ということになるように、歌伴ピアニストとしてニューヨークでも最高です。
アルトのゲリー・ケラーは渋くてビバッパーなのにちゃんと音楽の中にジャズのエッセンスを感じさせてくれました。
いつも思うことですが、ジャズの芸術性とエンターテイメントの素敵さが一緒になるとなんて素晴らしいのでしょうか。
ここで宣伝しても、きっと読まれないと思いますが、2010年の3月18日にジョン・
ディ・マルチーノがまたライフタイムに帰ってきます。ぜひこのピアノを聴いてください。