さて、この間から、ずっと去年のコンサートについての感想ばかり書き連ねておりますが、ライブの演奏を聴いた直後はそのミュージシャンの生の人間に触れてしまうという点で、相当興奮しているケースが多くて、かえってこの位、時間が経ってからの方がいいのかなとズボラの言い訳にしております。
そんな訳で、今回も去年9月のヴィンセント・ハーリングの話です。
ずいぶん昔から、ニューヨークのミュージシャンと深く親交を重ね、たくさんの共演暦を持つドラムの小林さん(ご自身もジャパニーズジャズメッセンジャーズを主催する素晴らしいドラムですが)からの話で、今をときめくアルトのヴィンセントのステージでした。
アルトのコルトレーンといっても良いような音、吹く姿、目つきまでそっくり、ちょっと小柄かなと思うくらいで、この店にコルトレーンが現れたようです。音の太さはまるでテナーです。
ピアノのジルは洒落たパリジェンヌのような容貌からは、想像できないようなビバップ直系に新主流派までカバーするピアノをバリバリと弾きまくります。
ベースのエシュットは2008年の11月にジョン・ディ・マルチーノのトリオで当店に来た素晴らしいベースです。ベースを弾く前は素朴な感じを漂わせていますが、音楽が始まった途端に、まるで遠くを見つめる目つきに変わります。ここに心がないような感じです。
残念ながらスケジュールの都合で、ステージが終わったあと、皆で東京へ帰ってしまいましたので、ゆっくりとお話はできなかったけれど、実力者の本物を聴かせていただきました。